2020年4月現在、日本でもとうとう第5世代移動通信システム(5G)がスタートし、それに対応したスマホも続々と発売され出した。
docomoとauからはGalaxy S20、AQUOS R5Gといったスマホがリリースされ、今後もXperia、arrowsと続いていく予定だ。
あなたも新生活のスタートと共に、5Gスマホへの乗り換えを考えているのではないだろうか。
だが、待ってほしい。私の見解としては、今は5Gスマホを買うべきタイミングではない。もしスマホの乗り換えをするのなら、最新の4G端末を買うべきだ。
その理由を3つに分けて説明しよう。
理由1.5Gは対応エリアが非常に狭い
理由の1つ目は、5Gの対応エリアの狭さだ。どのキャリアであっても、現在は非常に狭いエリアでしか5Gが使えない。
まずは最大手であるdocomoの5Gエリアから説明しよう。docomoはPDFで対応エリアを公開している。そして最も対応エリアが広いであろう、東京の2020年4月末時点の対応エリアが下記となる。
- オリンピックアクアティクスセンター:観客席
- 東京スタジアム:観客席、入場ゲート周辺
- 羽田国際空港:チェックインカウンター周辺
- 東京スカイツリー:スカイアリーナ周辺、ソラマチひろば周辺、PLAY5G
- 渋谷ストリーム:ホール5階・ホール6階
- 渋谷スクランブルスクエア:SHIBUYA QWS
- ドコモショップ丸の内店
- d school府中R20店
- ドコモショップ木場店
- ドコモショップ日本橋店
- 山王パークタワー:27F エントランス
- ドコモ中野ビル:1F エントランス
- ドコモ品川ビル:1F エントランス
たったのこれだけである。調べていて呆れるくらい少なかった。
しかも対応エリアの周辺で使えるのかと思ったら、よくよくみると1階エントランスだけとか、ホールの一部だけとか、更に狭い一部のエリアでしか使えない。これでは実質使えないのと同義だ。
「5G通信がしたいな。よし、ドコモビルの近くに移動しよっ!」
そんなユーザーがいるわけがない。
次はauの対応エリアだ。auは地図で分かりやすく5G対応エリアを提示している。東京を見てみよう。
「どこっ!? 5G対応エリアどこにあるの!?」
パッと見る限り、5G対応エリアはおろか、夏以降に5Gに対応するエリアすら見当たらない。どこを見渡しても4G対応エリアしか見えないので、私の目がおかしくなったのかと思った。
「あっ……あった!! めっちゃ拡大したら、ジュースをこぼしたシミみたいなエリアが見えてきた!」
画像をみたらわかると思うが、めちゃくちゃ狭いエリアしか対応していない。夏以降であっても、ほんのわずかのエリアしか対応しないことが分かる。
そしてSoftBankだ。SoftBankもauと同様にマップを公開していた。
参考:サービスエリアマップ
「おお? SoftBankが一番分かりやすいな……」
そして対応エリアも一番広い気がする。不思議なのは、映画「翔んで埼玉」で「千葉だと思ってた!」とディスられた葛西がすでに5G対応エリアと言う事だ。
うむ。これを見ると葛西も立派な東京都だと認識できる。
まあしかし、結局どのキャリアであっても5Gは対応エリアが狭すぎるということがよくわかっていただけただろう。
つまり、今5G対応端末を買っても、ほぼ4G端末としてしか使えないのだ。
理由2.5Gエリアは当分狭いまま
そして二つ目の理由だ。前章で5Gエリアが非常に狭いことを伝えたが、この状況はしばらく続く。
現在の対応エリアには将来的な対応エリアも記載されているため、ある程度今後の予測は出来るのだが、もっと決定的な資料がある。それは総務省の公開している5G基地局の開設計画の資料だ。
参考:第5世代移動通信システム(5G)の導入のための 特定基地局の開設計画の認定
この資料には5G基盤展開率という数値が記載されているのだが、下の方に小さく2024年度末までの計画値とこっそり書かれている。
それによると、2024年度末までにdocomoは全国97.0%、auは全国93.2%、SoftBankは全国64.0%となっている。つまり5G設備が全国に行き渡るまで、最低あと4年かかるのである。
今5G端末を買っても、しばらくの間は4G端末としてしか使えない状況が続くということが分かる。
理由3.5Gスマホはコスパが悪い
三つ目の理由は、5Gスマホのコスパだ。
あなたもご存知かもしれないが、すでに発売・発表されている5G対応端末はめちゃくちゃ値段が高い。
下記は私がまとめたキャリア各社の5G対応端末の値段だ。
製品 | docomo | au | SoftBank |
Galaxy S20 | 102960円 | 117480円 | - |
Galaxy S20+ | 114840円 | 133280円 | - |
AQUOS R5G | 111672円 | 129145円 | 129600円 |
Xperia 1 II | 123552円 | 133600円 | - |
LG V60 ThinQ | 118008円 | - | 139680円 |
ZTE Axon 10 Pro 5G | - | - | 89280円 |
Galaxy、AQUOS、Xperiaといった有名端末は軒並み10万円を超えている。最も安いZTEのAxonであっても、ほぼ9万円する。
これだけ値段がすれば、性能もそれに比例して高くなってほしい所だが、残念ながら4G端末と比べて大して高性能ではない。
いや、一応現時点で最高性能ではあるのだが、少なくとも値段に見合うほどではない。具体的に数値で説明しよう。
上記の5G対応端末は、どれも共通してSnapdragon 865というSoCを搭載している。基本的に同じSoCなら性能も同じとなる。そしてSnapdragon 865のベンチマークスコアは、約56万点だ。
SoC:スマホの処理性能を決める部品。CPUやGPUを一つのチップに纏めて搭載している。System on a Chipの略。
それに対して、最新の4G端末はどれくらいの性能なのか。
Snapdragon 855+を搭載したOneplus 7Tのスコアは、約50万点だ。5G端末とは約6万点のスコア差となる。これは普通に操作していて実感できるほどの差ではない。
そして性能には大して差が無いにも関わらず、値段は大きく違う。Oneplus 7Tの値段はAmazonで約5万6千円である。5G端末の半額程度で手に入れることが出来る。
Oneplusは日本に進出しておらず、Amazonなどの通販でしか買えないので、日本の家電量販店でも手に入る端末でも比較しよう。
つい先日発表された、AppleのiPhone SEである。iPhone SEはiPhone 11と同じA13 BionicというSoCを搭載している。このSoCも4G端末で最高の処理性能を持っている。
A13 Bionicのベンチマークスコアは約50万点。前述のSnapdragon 855+と同等の性能である。そしてiPhone SEの値段はご存知の通り、格安の44800円である。
いかに5G端末が4G端末と比べてコスパが悪いかわかっていただけただろう。
今5G端末を買っても、5Gはまともに使えず、しばらくの間その状態は続き、更にコスパも悪い。5G端末は今買うべきではない。
最新の4G端末を買い、5Gの設備が整った頃に5G端末に乗り換えるべきだ。そのころには5G端末の値段も落ち着いているだろう。
おすすめの最新4G端末
という訳で、現在お勧めの4G端末をご紹介しよう。どれも発売されて半年以内となっており、決して5Gスマホに見劣りするものではない。
おすすめ1.Oneplus 7T
発売:2019/10/1
値段:約56000円
SoC:Snapdragon 855+
メモリ:8GB
バッテリー:3800mAh
おすすめの一つ目は、前章でも引き合いに出したOneplus 7Tだ。最新5Gスマホにも匹敵する処理性能に、大容量のメモリ、バッテリーを搭載している。
にもかかわらず、値段は半額以下の56000円。ハッキリ言って、これほどコスパの高いスマホはそうそうない。ハイエンドにして格安スマホ並みの値段だ。
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もう他の端末のことなど一切考えず、この端末を買っておけばいいと断言したいところだが、ただ一つ欠点がある。それは、技適を取得していないことだ。
日本においては技適を取得していないスマホを許可なく使うと、電波法に違反する可能性があるとされている(必ずなるとは明言されていない)。
一応言っておくと、技適を取得していないスマホを使ったからといって、罰せられたという話は聞いたことが無い。だが、一応このスマホの使用は自己責任であるとさせてほしい。
日本における技適の現状については、下記の記事が参考になると思う。
「技適」なしスマホを使うと罰せられる? 覚えておきたい技適の話
おすすめ2.iPhone SE
発売:2020/4/24
値段:約44800円
SoC:A13 Bionic
メモリ:3GB
バッテリー:1821mAh
こちらも前章で紹介したスマホだ。ご存知AppleのiPhone SEである。
Oneplus 7Tと同様、4G端末の中では最高の処理性能を持っている。しかも、値段はさらに安くなり、技適も当然取得している。
メモリやバッテリーなど、基本的な性能ではOneplus 7Tに及ばないが、それでも優れた設計によりストレスなく使うことが出来るはずだ。
最近のスマホの中では珍しくコンパクトな端末となり、片手で操作できる小さな端末を探している人にもお勧めできる。
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おすすめ3.Huawei nova 5T
発売:2019/11/29
値段:約55000円
SoC:Kirin 980
メモリ:8GB
バッテリー:3750mAh
3つ目のお勧めはHuawei nova 5Tだ。前述の2機種よりも若干性能は劣るが、十分高い処理性能を持っている。
また、メモリ、バッテリー、カメラ機能の豊富さなどはiPhone SEよりも上だ。Huawei製品であってもしっかりGoogleアプリに対応しており、今後使えなくなることも無い。非常にコスパの高い製品となる。
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おすすめ4.OPPO Find X2 Proの発表を待つ
4つ目はお勧めの端末というより、推奨する行動指針となる。前述した通り、現在発売・発表されている5G端末は軒並み高価だ。
だが、まだ価格の判明していない端末は事情が違う。下記の端末は、従来の5G端末よりも格段にコスパが良い可能性がある。
製品 | docomo | au | SoftBank |
arrows 5G | 未定 | - | - |
OPPO Find X2 Pro | - | 未定(約7万円?) | - |
OPPO Reno3 5G | - | - | 未定 |
ZTE a1 | - | 未定(約5万円?) | - |
Mi 10 Lite 5G | - | 未定(約3万5千円?) | - |
注目すべきはOPPO Find X2 Proだ。この端末は5G対応端末の中でもワンランク上の性能を持ちながら、値段は非常に競争力のある価格にするとauが発言している。
一時期は値段が発表されていたのだが、調整中とのことで未定に変わってしまった。だが、当時公開された価格はなんと約7万円であった。
この価格であれば、この記事内で紹介したスマホの中で、ぶっちぎりでおすすめなのがOPPO Find X2 Proになる。
また、OPPO Reno3 5G・ZTE a1・Mi 10 Lite 5Gについても、性能は一歩劣るが、その分価格は安く抑えられるとみている。これらも非常におすすめの端末だ。
……残念ながら、arrows 5Gの値段には期待しない方がいい。日本のメーカーが、中華スマホに張り合うくらいコスパの高いスマホを出すとは思えない。
一応スペック的にはarrows 5Gも悪くないので、価格さえ良ければ大いにお勧めできるのだが……。
最新の4G端末を買うか、待ちがおすすめ
再度結論を言うと、今5G端末を買うのはお勧めできない。
買うなら最新の4G端末にするか、まだ価格の発表されていない5G端末の発表を待った方がいい。
スマホは最もよく使う日用品であり、生活の豊かさに直結する重要なデバイスである。端末を選ぶときは、よく吟味して自分に最適なスマホを見つけ出してほしい。
その時は、当ブログがお役に立てれば幸いである。