私は常々思っていた。スマホがPCのようになれば、どこでも家と同じように作業が出来て、持ち物も減って移動も楽になると。
もちろん現時点でもスマホだけでスプレッドシートの編集やブログの記事を書くこともできる。しかし、やはりPCと比べて圧倒的に作業効率が落ちるのだ。
スマホでは一度に画面に表示できるものが少なすぎるし、キーボードに比べて文字を打ち込む速度も劣る。スマホだけで全て済ませたくても、出来ないのが実情だった。
だが、そんなわがままな願いをかなえるガジェットが遂に発売される。Mirabookを使えば、手持ちのスマートフォンをノートパソコン化して使うことが出来るようになるのだ。
CPUもメモリもストレージも搭載していない、純粋な拡張デバイス
Mirabookには普通のPCには付き物のCPUが入っていない。いや、CPUだけではない。メモリも、ストレージも、PCを構成するあらゆる部品が載っていないのだ。あるのは最低限の画面とキーボードだけだ。
ではどうやって起動させるかと言うと、接続したスマホのCPUとメモリとストレージを使用するのである。いまやスマホの性能は飛躍的に向上し、単独でPCとして動作させても問題ないくらいの能力を手に入れている。
Mirabookを使えば、スマホそのものがPCと化すので、ファイルの共有やアカウントの同期といった作業は必要なくなる。インターネット接続もスマホの回線そのままだ。
また、Mirabookには基本的にバッテリーしか載っていないので、通常のPCよりも遥かに長く稼働させることが出来る。スマホとコイツを持ち歩けば、どこでもストレスフリーで作業する環境が出来るのだ。
週末にはスマホとMirabookだけを持って、フラッと温泉にでも行きたくなるだろう。きっといつもより優雅な気分でブログの記事が書けるはずだ。
これさえあれば、重くて場所を取るPCが要らなくなり、スマホ一台で何でもできるようになる。
期待していたWindows Mobileがオシャカになってしまった
冒頭にずっとこういうのを待っていたと書いたが、実は似たようなものが過去にもあった。Windows 10 Mobileがそれだ。
もうすっかりあなたの記憶からは消えているかもしれない。当のMicrosoftでさえ無かったことにしようとしているのだから、無理もない。
だが、私は本当にWindows 10 Mobileに期待していたのだ。なぜかというと、「Continuum」という画期的な機能があったためだ。
Continuumは、Windowsスマホをモニタに接続することで、普通のWindowsのようにスマホを使えるという機能である。スマホがそのままWindows PCと化すのだ。Microsoft Officeといったおなじみのアプリケーションがそのまま使える。これこそ正しく私の理想としていた機能だった。
だが、Windows Mobileはオシャカになってしまった。単純にWindows Mobileは人気が出なかったのだ。市場は既にAndroidとiOSで飽和しており、Windowsが入り込む隙間などどこにもなかった。
私もWindows Mobileを少し触って見たが、アプリの少なさや、Googleアプリとの連携といった点で問題を感じて結局手を出さなかった。また、肝心のContinuumはUWP(Microsoft ストア経由のアプリ)しか動かせないといった制限もあり、私の理想を体現した物とはいいがたかった。
それでもWindows Mobileが成熟してくればもっと完璧なContinuumが使えるかと思ったが、結局進化を見ることなくWindows Mobileは終了してしまった。
Mirabookを買おうとするとノートPCが買えてしまう
しかし、今のガジェット界にはMirabookがある。私と理想を同じくする者がどこかにいて、それを体現するガジェットをついに作り上げたのだ。
買うしかない。買えば理想の環境が手に入る。
いざ、予約……!!
本体価格……54,800円?
え、なんで……? CPUもメモリもストレージも載ってないのに……? なんでノートPCと値段が変わらないの……?
百歩譲ってモニタとキーボードとバッテリーで2万くらいするとして、スマホとMirabookを繋ぐケーブルに、3万以上の価格がかかるの……?
これならCHUWIのUBookを買った方が、遥かに性能が良くて快適になるんじゃない……? (55000円でSurface並みに性能が良い)
どうやら時代はまだ私の理想とは遠かったようだ。しばらくはPCとスマホを併用する環境が続くらしい。
だが、スマホは日々劇的に進化している。いつの日か、スマホはPCとしての機能も手に入れ、全てのデバイスを駆逐する日が来ると信じている。