以前Motorolaが久しぶりにハイエンド端末を準備しているという記事を書いた。その端末がいつの間にか正式発表されていたようだ。
超高性能なMotorolaの5G端末!Motorola Edge+がリーク!
あまりにひっそりと発表されていたので、気付いたら大分時間が経っていた。Motorolaはもっと日本向けにも情報と端末を出してほしい。
発表されたのは2機種だが、今回紹介するのは下位モデルのMotorola Edgeとなる。
この端末はSoCに価格の安いSnapdragon 765Gを採用し、ミドルクラスの5G端末となるようだ。それならさぞコスパが高いだろう……とカタログを見た私は目を疑った。
「は? 価格は83000円? ミドルクラスなのにハイエンド並みの値段なの? 正気か?」
スペックと評価
※2020年度のスマホの評価基準をもとに作成
項目 | 詳細 | 評価 |
発売日 | 2020年5月 | - |
値段(コスパ) | 699ユーロ(83000円) | ★☆☆☆☆ ミドルクラスなのに価格はハイエンド。正気か? |
SoC(処理性能) | Snapdragon 765G antutu 30万点 | ★★★☆☆ ミドルクラスではほぼ最高性能。だが価格がハイエンドなので台無し |
メモリ | 6GB | ★★★☆☆ 8万もするのに6GBで大丈夫か? |
バッテリー(電池) | 4500mAh 18W急速充電 | ★★★★☆ そこそこ大容量 |
写真などの保存容量 | 128GB microSDカードスロット有 | ★★★☆☆ 普通の容量。 |
画面の綺麗さ | 2340*1080 90Hz 有機EL | ★★★★☆ 解像度は普通だが、パネルとリフレッシュレートは良い |
携帯性 | 6.7インチ 71.4*161.4*9.6mm 188g | ★★★☆☆ 標準的 |
防塵防水 | IPX5 | ★★★☆☆ 防塵はないが防水はそこそこ |
カメラ(画素数) | 広角:6400万 望遠:800万 超広角:1600万 望遠:500万 ToF 内:2500万 | ★★★★☆ センサーもレンズもそこそこ良いが、画素数が過剰 |
オプション | ・画面内指紋認証 | ★★★☆☆ 画面内指紋認証があるのは便利で良い |
★合計 | 50点満点中 | 31点 |
高性能で安価なSoCを搭載
まずは基本となる処理性能から見ていこう。スマホの処理性能を決めるのは「SoC」という部品になる。
SoC:スマホの処理性能を決める部品。CPUやGPUを一つのチップに纏めて搭載している。System on a Chipの略。
冒頭でも少し触れたが、Motorola EdgeはSnapdragon 765GというSoCを搭載している。このSoCは5Gに対応していて性能もそこそこ高性能ながら、価格は安価という特徴を持っている。
あなたもご存知だと思うが、現在リリースされている5G端末は非常に高価となっている。これは搭載しているSoCのコストが高いことが由来となっている。
製品 | docomo | au | SoftBank |
Galaxy S20 | 102960円 | 117480円 | - |
Galaxy S20+ | 114840円 | 133280円 | - |
AQUOS R5G | 111672円 | 129145円 | 129600円 |
Xperia 1 II | 123552円 | 133600円 | - |
LG V60 ThinQ | 118008円 | - | 139680円 |
ZTE Axon 10 Pro 5G | - | - | 89280円 |
それに対してSnapdragon 765Gを搭載した端末はこれらのスマホよりも安価になることが期待できる。
Motorola Edgeもそうだと思っていた(過去形)。
性能に対して価格が高すぎ
冒頭に書いたことをもう一度言うが、Motorola Edgeは性能に対して価格が高すぎる。
いくら最新のSoCとはいえ、Snapdragon 765Gはミドルクラスの部品である。今年登場したハイエンドの5G端末はおろか、去年のハイエンド端末にも性能が劣っている。
具体的にこれより上の性能の端末を言うと、iPhone 11、Xperia 1、Xperia 5、AQUOS zero2、GalaxyS10……。
つまり、ありとあらゆるフラッグシップ端末よりも性能が低い。それなのに価格はほとんど変わらない83000円。
一体だれがこの端末を買うんだ? 5G対応端末ならなんでもいい人か? それともMotorolaが好きでたまらない狂信者か?
どちらもあり得ない。5G対応端末なら何でもいいなら、Oneplus 8などの中華スマホを買うだろう。値段がほぼ同じで性能は他社のハイエンド端末に全く劣らないからだ。
Motorolaが好きでたまらない人なら、上位機種のMotorola Edge Plusを買うだろう。
つまりMotorola Edgeを欲しがる人はいない。もちろん私は全くこのスマホをお勧めするつもりはない。
Motorola razrと同様に、買ってはいけないスマホだと忠告しておく。
その他の性能もパッとしない
もう結論は出ていると思うが、もう少しだけこの端末について掘り下げよう。
性能と価格がダメでも、他に良い部分があればいい。例えばXperiaのように唯一無二の画面比率があることや、LG VELVETのようにデザインがめちゃくちゃかっこよければ買う価値はある。
だが、残念ながらMotorola Edgeにそういった特徴はない。
メモリは別に多くないし、バッテリーも多めではあるがナンバーワンではない。
カメラは高画素ではあるが、そもそも私は高画素を謳うスマホを怪しく思っている。
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それらを除いていったあと、この端末に何が残るだろう?
名前の由来となっているエッジディスプレイだろうか?
画面端がカーブしているのが特徴のディスプレイだが、正直言って私は何のメリットも見いだせない。むしろ画面保護フィルムを貼りづらいだけだと感じる。
そもそもの存在意義を問うことになるが、スマホの個性というのはユーザーにとって利点のあるものでなければならないと私は考えている。
たんに物珍しさや耳目をひきたいだけで取り入れた機能など、開発者の自己満足でしかない。
Motorola Edgeのエッジディスプレイはどうか? 見た目が珍しい以上の利点はあるのか? あったとして、それは83000円も出して手に入れたいと思うようなものなのか?
Motorolaにはそこら辺をきっちりとユーザーにプレゼンしてもらいたい。納得できればユーザーは興味を持って手に取るだろうし、私も大いにこのスマホをお勧めできる。
Motorola Edgeシリーズは日本では未発表だが、せっかくの久しぶりのフラッグシップなのだ。是非日本でもリリースしてもらいたい。
そしてその時には、値段を見直すことを進言しておく。