2020年2月24日、ソニーのフラッグシップスマホの発表と同時に、ミドルクラススマホも発表された。その名も「Xperia 10 II(エクスペリアテンマークツー)」!!
もう少し名前の付け方なんとかならなかったのか!? 「ファイナルファンタジー10-II(テンツー)」か!!
Xperia1 IIのときと全く同じツッコミをしてしまった。いや、このツッコミは今回こそ相応しかった。なぜなら、今回は本当にテンツーなのだから。
名前なんて大したことないと思うかもしれないが、商品を売るにあたって名前というのは本当に重要なのだ。それこそ、売り上げに滅茶苦茶影響を与えるくらいに。
例えば、皆さんは「Oppo」という会社のスマホを名前だけで買いたいと思うだろうか? Oppoさんには本当に申し訳ないが、私は名前の響きが間抜けすぎて買いたいと思わない。
それでもOppo Reno Aが売れるのは、売ったら赤字になるくらい滅茶苦茶コストパフォーマンスが高い端末だからである。それでようやく名前のマイナスを打ち消せるのだ。※本当に赤字かどうかは私は知らない。だが、それくらいコスパが高い。
それに、Xperia 1 II とXperia 10 IIに関しては、その名前を広めようと思っても名前が打ち込み辛くてしょうがない。TwitterでXperia 1 IIについて呟きたくても「打ち込むのめんどくさい」となって止めてしまった。
名前の話はここら辺にしておこう。私もスマホにおいては、名前より中身の方が重要なことはよくわかっている。
そしてこの端末の中身の結論はこうだ。「去年のXperia 8よりは大分マシになったが、それでもコスパ的に厳しいと言わざるを得ない」だ。
スペックと評価
項目 | 詳細 | 評価 |
発売日 | 2020/春以降 | - |
値段(コスパ) | 369ユーロ (約44000円) | ★★☆☆☆ Xperia 8と比べるとだいぶマシになったが、ライバルが強すぎてこれでもコスパは低い |
CPU(処理性能) | Snapdragon 665 | ★★★☆☆ AQUOS Sense3以上、Oppo Reno A未満。今更この程度の性能では厳しい |
メモリ | 4GB | ★★★☆☆ AQUOS Sense3と同等 |
バッテリー(電池) | 3600mAh | ★★★☆☆ Xperia 8と比べると大分マシになった。これでもAQUOS sense3より少ないけど |
写真などの保存容量 | 128GB | ★★★★☆ そこそこの容量 |
画面の綺麗さ | 有機EL | ★★★★★ 有機ELにしたのはとても評価できる。滅茶苦茶綺麗 |
解像度 | 2520*1080 | ★★★★☆ 縦長。オンリーワンの特徴なので、評価したい |
防塵防水 | IP68 | ★★★★★ 風呂でも使えそう |
カメラ(画素数) | 外:1200万 望遠:1200万 広角:1200万 内:800万 | ★★★☆☆ 数値上は上位機種のXperia 1 IIと同じに見えるが、実は撮像素子の大きさが全く違う。画質にあまり期待できない。F値も大したことが無いので、夜の撮影は厳しそう |
オプション | ・指紋認証 | ★☆☆☆☆ 顔認証ないの……? 同梱品についてはまだ分からないから評価は確定できないが、多分期待できない |
★合計 | 50点満点中 | 33点 |
去年出た端末に性能で完全に負けてしまっている
まず処理性能だが、去年出た同価格帯の端末に完全に負けてしまっている。いや、同価格帯と言うとちょっと厳しい。なぜなら、2万円台(TCL Plex)や3万円台(Oppo Reno A)の端末に負けてしまっているのだ。それなのにこの端末は4万円台。厳しいと言わざるを得ない。
ちなみに、同時期に発表されたmoto g8 plusも同じCPUを使っているので、同じように厳しいと言及した。
しかも、これから発表されるであろう中国の端末はこれをさらに上回ってくることが確実である。
私は先日HuaweiのP40 liteのカタログスペックを見た。Xperia 10 IIやmoto g8 plusが見たら、小便をちびって逃げ出しそうなスペックであった(Oppo Reno AやTCL Plexよりも遥か上のスペックだった)。
HuaweiにはGoogleアプリが使えないという決定的な弱点があるが、OppoやXiaomiにはそんな枷など存在しない。間違いなく恐ろしいコストパフォーマンスの端末をリリースしてくる。
画面についてはかなり評価できる
画面は予想以上に良いと感じた。Xperia 10 IIは画面に有機ELパネルを採用している。この価格帯で有機ELを使った端末は珍しい。有機ELは暗い色の表現力において、液晶より圧倒的に勝る。有機ELと液晶の違いについては下記の記事を参照してほしい。
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有機ELと液晶の違いって何? 知って得するスマホの豆知識
最近あちこちで「有機EL」という言葉を聞かないだろうか。今やテレビ売り場の半分は有機ELのテレビだし、iPhoneといった高級スマホも軒並み有機EL画面を採用している。 でも正直なところ、「有機EL」 ...
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しかも、画面比率は上位機種のXperia 1 IIと同じ21:9。これにより、横に長い映画を画面いっぱいに楽しむことが出来るようになっている。
画面に関してはOppo Reno Aも有機ELを採用しているが、Xperia 10 IIは画面比率で差別化が出来ている。画面でこの端末を選ぶ選択肢は、断然アリだ。
カメラについてはちょっと怪しい
Xperia 10 IIは外側にトリプルカメラを採用している。標準、望遠、広角となっており、それぞれ1200万画素と、一見上位機種のXperia 1 IIと同じに見える(ただし、Xperia 1 IIにはさらにToFカメラがついている)。
だが、実は内部に使われている部品の性能が大きく違う。Xperia 1 IIは撮像素子が1/1.7で、レンズがF値1.7なのに対し、Xperia 10 IIは撮像素子が1/2.8に、レンズがF値2.0だ。
なんのこっちゃと思うかもしれないが、撮像素子は大きいものほど画質が良くなると理解してほしい。1/1.7と1/2.8では大分性能が違う。
そしてレンズのF値は、夜などの暗所の撮影に影響する。数値が小さいほど暗い場所でも綺麗に撮れるレンズだ。F値1.7は中々の数値だが、2.0は微妙なところだ。
カメラについては実際に使ってみないと分からないことも多いが、少なくともカタログスペックを見る限り、大した性能ではない。
Xperiaとしてかなり順当な進化。ただし、ライバルと比べると微妙
ここまで少々厳しく書いたが、それでもXperiaとしては大分いい端末に仕上がっていると思う。売りの画面は有機ELで21:9とツボを押さえているし、弱点だったバッテリーも補強してきた。なかなかいい端末だと私も思う。Xperia 8のコスパの悪さは大分改善された。
だが、それはXperiaの中での話だ。処理性能では去年の端末に負け、バッテリーはAQUOSより少なく、オプションも少々心もとない。その上、値段はワンランク上の4万円台。
これではコスパ的に厳しいと書かざるを得ない。ソニーは頑張った。だが、あまりにも世界の壁が高すぎたのだ。
それでもこの端末はある程度売れるのでは?と思う。Xperia 1 IIの記事の反応で実感しているが、Xperiaには他の端末にはないネームバリューがある。Xperiaでこれだけの性能があれば、買っちゃおうとなる層が相当いるのではないかと感じている。
これはAQUOS sense3の時も感じた。AQUOS sense3は総合力で完全に中国の端末に負けているが、売れ行きは好調なようだ。Xperia 10 IIもそうなるのではないかと思う。
だが、果たしてそのネームバリューがいつまでもつのか……そろそろ厳しい時代になっていくのではないかと思う。現在、日本の端末の世界的なシェアは圏外(10%未満)だ。やがて日本も中国の端末に飲み込まれていくのではないだろうか。
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