2020年3月18日、docomoが春夏の5G対応スマホを一斉に発表した。それと同時に、これまでは謎だったXperia 1 IIの日本での価格が判明した。
以前海外版の発表レビューをしたときは、基本的なスペックを褒めながらも、そのあまりの高価さに苦言を呈したが、いざ蓋を開けてみると海外版よりも2万以上安い価格であった。
その価格は、123,552円。正直言うとこれでも私は少し高いと思うのだが、熱烈なXperiaファンであれば十分手が出せる価格なのではないだろうか。
それにこれは一括で購入した場合の金額であるので、「スマホお返しプログラム」などを利用すると82,368円まで下がる(プログラムの適用には条件があるので、よく確認しておいてほしい)。
Xperia 1 IIは私が見る限り、バッテリーが少ないなどの弱点を解消し、カメラ性能を強化したなかなかの端末である。Xperiaやソニーが好きといった人には普通にお勧めできる端末だ。
スペックと評価
項目 | 詳細 | 評価 |
発売日 | 2020年4月下旬以降 | - |
値段(コスパ) | 123552円 | ★★☆☆☆ 高いのだが、海外版の価格からすると頑張った。 |
CPU(処理性能) | Snapdragon 865 | ★★★★★ 現状最高の性能。iPhone11より上 |
メモリ | 8GB | ★★★★☆ 十分な容量 |
バッテリー(電池) | 4000mAh ワイヤレス充電 | ★★★★☆ バッテリーを増やしたのは大英断! |
写真などの保存容量 | 128GB SDカードスロット有 | ★★★★☆ そこそこの容量。SDカードで増量できる。 |
画面の綺麗さ | 有機EL 90Hz | ★★★★★ 美麗かつ滑らか |
解像度 | 3840*1644 | ★★★★★ 縦長。オンリーワンの特徴なので、評価したい |
防塵防水 | IP68 | ★★★★★ 風呂でも使えそう |
カメラ(画素数) | 外:1220万 望遠:1220万 広角:1220万 ToF 内:800万 | ★★★★☆ 高機能のカメラに、大型の撮像素子。かなり期待できる |
オプション | ・指紋認証 ・PS4リモートプレイ ・おサイフケータイ | ★★★☆☆ 顔認証が無いのが残念。PS4のリモートプレイは面白そう |
★合計 | 50点満点中 | 41点 |
弱点を改良したバランスの良い性能
改めてこの端末の性能をおさらいしよう。
まず処理性能は次世代の最高のSoCを搭載し、現行で最高の端末であるiPhone11を上回る性能となっている。この点は他社のフラッグシップスマホと同様だ。
メモリは8GBと十分な容量を積んでいる。他社のフラッグシップスマホの中には12GBも積んでいるものがあるが、8GBもあれば問題になることはまずあるまい。
バッテリーは4000mAhと大容量となっている。これまでのXperiaは他社と比べて明らかにバッテリー容量が少なく、電池持ちに不安を抱えていた。4000mAhあればゲームをしていても1日は余裕で持つだろう。また、ライバル機であるAQUOS R5Gの3730mAhよりも多い点も好ポイントだ。
写真などの保存容量は128GBとなっている。実はこれは海外版の半分の容量となっている。おそらく価格を下げるために妥協された部分なのだろう。私としては妥当なマイナーチェンジ部分だと思う。なぜならば、保存容量はSDカードスロットで増やせるからだ。
足り無くなればSDカードを買って増やせばいい。その場合でも海外版の144000円の差額である2万円よりも安い価格で十分な容量のSDカードが買える。それに、SDカードは他のスマホに差し替えることもできる。Xperia 1 IIのためにSDカードを買ったとしても、その後も継続して利用できるはずだ。
最も解像度の高いスマホ
Xperia 1 IIには世界で唯一無二の特徴がある。それは21:9の縦長の画面だ。
この特徴的な画面比率により、横に長い映画などを画面いっぱいで観ることが出来る。普通の端末では上下に黒い額縁が出来てしまうだろう。
解像度も3840*1644と、おそらく現状のスマホで最も高精細な画面となっている。縦に長すぎてポケットから大きくはみ出してしまうが、そこは美麗な画面とのトレードオフといった所だろう。少なくとも綺麗な画面にこだわるなら、この端末を選ぶ選択肢は断然アリだ。
リフレッシュレート(一秒間に画面を書き換える回数)も90Hzとなっており、滑らかな画面表示が可能となっている。この点は他社のフラッグシップスマホも同様で、一般的な60Hzよりも多い90~120Hzの端末が多くなっている。これは最近のスマホのトレンドだ。Xperia 1 IIもしっかり時代の波に乗っている。
かなり期待できるカメラ
カメラに関してはかなり期待している。恐らくこの端末で最も力が入っている部分だ。
まず外側にカメラが四つあり、広角撮影、ズーム撮影、ポートレート撮影といった昨今のカメラのトレンドを取り入れている。被写体との距離を測るToFカメラがあることで、オートフォーカス機能も強化されていると考えられる。機能的には他社と同等以上に豪華となっている。
そして画素数はメイン、広角、望遠のすべてが1220万画素となっている。最近は1億画素を売り文句にするようなスマホが出てきたが、それに比べると物足りないと感じる方もいることだろう。
だが実は、基本的にスマホのカメラは画素数が増えるほど画質が落ちる。その理由はレンズの中にある光を取り込むセンサーにある。撮像素子と呼ばれるこのセンサーは、取り込んだ光をデジタルな情報に変換して写真にする。
この撮像素子がたくさん光を受けることが出来ると、その分たくさんの情報を取り込んで写真の画質が上がるのである。光をたくさん受けるためには、それだけ大きな面積が必要となる。つまり、大きな撮像素子が必要となるわけだ。
無駄に画素数を増やしてしまうと、一画素当たりの撮像素子の面積が小さくなってしまい、画質が落ちるという訳だ。詳しくは「カメラの画素が多いほど画質が悪い!?知って得するスマホの豆知識」という記事で解説している。
この点に関して、Xperia 1 IIはかなり期待できる。1220万画素という数値は多くのカメラ性能にこだわるスマホが採用している数値であり、撮像素子の大きさとのバランスが考えられた数値となっている。例えば、iPhone 11なども1200万画素となっている。
もちろん撮像素子その物も大きくなっており、1/1.7型(インチ)というそこらへんのデジカメよりも大きいセンサーを使用している(普通のデジカメは1/2.3型。ただし、最近は1型がトレンド)。
Xperia 1 IIのカメラは、下手な高画素を謳うスマホよりも期待できる。
Xperia、ソニーが好きな人には普通にお勧めできる
結論として、Xperia 1 IIはXperiaやソニーが好きな人には大いにお勧めできるスマホとなっている。
これまでの弱点だったバッテリーの少なさは解消し、唯一無二の大きくて美麗な画面は健在だ。かつ、カメラ機能の強化も期待できる。
Palm Phoneのレビューの際にも述べたが、高くても買う価値がある物は存在する。本当にその製品にほれ込んでしまえば、多少の値段や欠点などどうでもよく感じるものである。Xperia 1 IIにはその魅力があるだろうと私は感じる。気に入ったなら是非購入候補に入れると良い。それに見合う満足感は得られるはずだ。
なお、Xperia 1 IIにはさらに上位機種であるXperia PROも発表されているが、こちらを待つのはお勧めしない。動画制作に特化した端末となり、ワイヤレス充電機能が削られるなど、一般的向けの機能はむしろ劣っているからだ。より高速な5G通信であるミリ波に対応しているという利点はあるが、そもそも日本ではミリ波の設備が整っていない。Sub6のみの対応となるXperia 1 IIでも十分なはずだ。
以上がXperia 1 IIの現時点の私の評価だ。あくまでカタログスペックから判断したので、実際の使い心地やカメラの画質というものはまだわからない。発売を心待ちにしている。