世界最高の性能だが、値段が前期種よりクッソ高くなってしまった。
スマホと言ったら、プライベートからビジネスまで幅広く利用されるデバイスである。だが、最も利用機会が多いのは実はゲームではないだろうか。
そんなゲームに特化した端末でありながら、街中ではとんと見かけない端末がある。
超高性能だが、デカくて重くて派手で、持ち歩くのはちょっと気が進まない。それはゲーミングスマホだ。
そして、おそらくもっとも有名なゲーミングスマホ、ROG Phone 3(アールオージーフォンスリー)が発表された。
この端末は現状最高のSoCであるSnapdragon 865を、さらにスペックアップしたSnapdragon 865 Plusを搭載した、超高性能スマホである。
ROGブランドに相応しいスマホだが、性能アップとともに前機種のコスパは失われ、クッソ高い端末になってしまった。
スペックと評価
※2020年度のスマホの評価基準をもとに作成
項目 | 詳細 | 評価 |
発売日 | 2020年? | - |
値段(コスパ) | 8GB+256GB:799ユーロ(99000円) 12GB+512GB:999ユーロ(124000円) 16GB+512GB:1099ユーロ(136000円) | ★★☆☆☆ 前機種は最高の性能でコスパも高かったが、今回は値段も高くなってしまった |
SoC(処理性能) | Snapdragon 865/865 Plus | ★★★★★ 上位の2つのモデルはSnapdragon 865 Plusだが、下位のモデルはSnapdragon 865。Snapdragon 865 Plusは現状最高のSoCであり、あらゆる5G端末より性能が高い |
メモリ | 8GB/12GB/16GB | ★★★★☆ 8ギガから16ギガまで選べる。最低容量の8ギガだと星4つ |
バッテリー(電池) | 6000mAh 30W急速充電 | ★★★★★ 超大容量。長時間のゲームにも耐えられる |
写真などの保存容量 | 256GB/512GB | ★★★★★ 256ギガと512ギガから選べる。256ギガだとして、星5つ。 |
画面の綺麗さ | 有機EL 2340*1080 144Hz | ★★★★★ リフレッシュレートは驚異の144Hz。1秒間に144回も画面を書き換える。通常の倍以上の性能 |
携帯性 | 78.0*171.0*9.85mm 240g | ★☆☆☆☆ ゲーミングらしいデカさと重さ。携帯はしづらいが、ゲームは画面がでかい方が遊びやすい |
防塵防水 | なし | ☆☆☆☆☆ ゲーミングに防水を求めるのはナンセンスかもしれない |
カメラ(画素数) | 外:6400万 超広角:1300万 マクロ:500万 内:2500万 | ★★★☆☆ 4K動画が60fps、8K動画が30fpsで撮影可能とのこと。 |
オプション | STADIA 3か月無料 | ☆☆☆☆☆ STADIAの3か月無料トライアルがついてくるようだ |
★合計 | 50点満点中 | 30点↑ |
頭一つ抜けた高性能。評価基準が揺らぐレベル
ゲーミングスマホと言ったら、何をおいても性能だ。性能こそ存在価値であり、最も重要視すべき部分なのだ。
その性能に関して、ROG Phone 3は現状存在するあらゆるスマホの中で最高の性能である。
ROG Phone 3は最新の5G端末に搭載されているSnapdragon 865を、さらにカスタマイズしてスペックアップしたSnapdragon 865 Plusを搭載しているのだ。
Xperia 1 II、Galaxy S10、AQUOS R5Gといった端末はすべてSnapdragon 865を搭載しており、性能はすべて横並びである。ROG Phone 3は、それらよりも頭一つ抜けて高性能ということになる。
スマホの性能を測るベンチマークソフトantutuによると、Snapdragon 865のスコアは約56万点となっている。それにたいして、Snapdragon 865 Plusは約65万点を叩き出したらしい。
なんてこった。当ブログでは性能の評価をする際、これまではSnapdragon 865を基準に、50万点を星5つとしていた。それがSnapdragon 865 Plusの登場により、さらに天井が高くなってしまった。
評価を改めるか迷うところだが、現在の評価基準は2020年度向けに策定したものである。途中で変えてしまうと、これまでの評価と辻褄が合わなくなってしまうので、とりあえずは据え置きで行こうと思う。
なに、心配することはない。現在のスマホは性能が上がり過ぎて、50万点だろうが60万点だろうが十分すぎるほどハイスペックである。違いを感じることはまずない。はずだ。
最高の性能だが、気を付けることがある
前述のとおりROG Phone 3は最高の性能だが、気を付けることがある。
それは、モデルによって性能が変わってしまうということだ。
ROG Phone 3には3つのモデルが用意されている。それぞれメモリ、ストレージが違うワケだが、なんと最も下位のモデルはSoCがSnapdragon 865となってしまうのだ。
モデル | SoC | 価格 |
メモリ8GB+ストレージ256GB | Snapdragon 865 | 799ユーロ(99000円) |
メモリ12GB+ストレージ512GB | Snapdragon 865 Plus | 999ユーロ(124000円) |
メモリ16GB+ストレージ512GB | Snapdragon 865 Plus | 1099ユーロ(136000円) |
つまり、最下位のモデルは最高性能ではなくなってしまうのである。
これではROG Phone 3を買う価値が大きく損なわれてしまう。そのため、ROG Phone 3を買うなら、最低でもメモリ12GB+ストレージ512GBのモデルとした方がいいだろう。
そしてコスパが爆下がりしてしまった
ROG Phone 3を買うならメモリ12GBのモデルから。しかし、そうなってくると、今度は別の問題が浮かび上がってくる。
それはコスパの問題だ。上記の表でも併記したが、メモリ12GBのモデルは値段が12万円以上もする。
これは前期種の最低価格が約6万円だったことから比較すると、約2倍の価格上昇となる。
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あまりにも高い値上げではないか。前期種はそのコスパの高さから、私は大いにお勧めしていたのだが、今作はちょっと軽々にお勧めできない。12万円と言ったら、定額給付金を全額使っても買えないからだ。
それでは、最下位モデルの99000円のモデルを買うか? いや、それも私はお勧めできない。
先ほども記述したが、最下位モデルだとSoCがグレードダウンしてしまい、Xperia 1 IIやAQUOS R5Gと性能が変わらなくなってしまうからだ。これではあえてROG Phone 3を選ぶ意味がなくなってしまう。
かといって、上位モデルはどちらも高い。非常に悩ましいところだ。
ストイックにゲーム性能を追求したい人向け
というわけで、ROG Phone 3は素晴らしい性能を持っているが、コスパはお世辞にも高いとは言えない。大手を振って「お勧めですよ!」とは言えないのが正直な感想だ。
ただし、やはり最高の性能というのは、それだけで価値がある。性能ばかり語ってしまったが、ROG Phone 3は他にも素晴らしい箇所がある。
まず、画面のリフレッシュレートが144Hzもある。これは1秒間に144回画面を書き換えるということだ。通常のスマホが60回と言えば、どれだけすごい性能かよくわかるだろう。ROG Phone 3の画面はとてつもなく美麗かつ滑らかなはずだ。
さらに、ROG Phone 3は強力な冷却機構が備わっている。スマホは長時間使用していると熱を帯びてしまい、それに伴って性能が下がることがよくある。ROG Phone 3は大型のヒートシンクに、外付けの空冷ファンまでつけることで、最高性能が長く保てるようになっている。長時間のゲームプレイには非常に心強い。
長時間のゲームプレイとなると、バッテリー容量が気になるところだが、その点もROG Phone 3は抜かりない。搭載しているバッテリー容量は6000mAhにもなる。並みのスマホの2倍の容量だ。
とにかく、ストイックにゲーム性能を突き詰めた端末となっている。少々値が張るのは残念だが、究極のゲーム体験を求めるなら、このくらいの投資は必要なのかもしれない。
あなたが生粋のゲーマーなら、ROG Phone 3という選択肢は、断然アリだと私は思う。