このスマホではXiaomiに勝てない。
auのサブブランド、UQ mobileがOPPO Reno3 Aの発売を発表した。
OPPOと言えば、2019年10月に発売したOPPO Reno Aの印象が強い。そしてこの端末はその後継となるスマホのようだ。
Reno Aは3万円台の手ごろな価格ながら、防塵防水におサイフケータイを備え、性能も必要十分なスペックを備えた優等生スマホだった。私も安価なスマホを探している方には、基本的にこのスマホをお勧めしている。
私はこのスマホの後継機種を非常に楽しみにしていた。そしてReno3 Aの仕様を見てがっかりした。
Reno3 Aは防塵防水、バッテリー、カメラといった部分を強化しながら、肝心の処理性能を落としてしまっている。
Reno Aとの比較はともかく、これではXiaomiのスマホに勝てないだろう。
スペックと評価
※2020年度のスマホの評価基準をもとに作成
項目 | 詳細 | 評価 |
発売日 | 2020年6月 | - |
値段(コスパ) | 不明 | ☆☆☆☆☆ 性能を考えると、3万円以下じゃないと厳しい |
SoC(処理性能) | Snapdragon 665 antutu 17万点 | ★☆☆☆☆ Xiaomiのスマホは言うに及ばす、前身のOPPO Reno Aよりも低い |
メモリ | 6GB | ★★★☆☆ 標準的な容量。Reno Aと同じ |
バッテリー(電池) | 4025mAh | ★★★★☆ そこそこの容量。Reno Aの弱点であるバッテリーを補強してきた |
写真などの保存容量 | 128GB MicroSD対応 | ★★★☆☆ そこそこの容量。楽天モバイル版のReno Aと同じ |
画面の綺麗さ | ・有機EL ・2400*1080 | ★★★★☆ 画面に関してはReno Aとほぼ同じ仕様 |
携帯性 | ・74.1*160.9*80.2mm ・175g | ★★★☆☆ 大きさを考えるとかなり軽め。Reno Aよりは若干重い |
防塵防水 | IP68 | ★★★★★ ほぼ最高の防塵・防水性能。Reno AのIP67からさらに強化してきた |
カメラ(画素数) | メイン:800万 カメラ2:4800万 カメラ3:200万 カメラ4:200万 内:1600万 | ★★★☆☆ Reno Aからカメラはかなり強化してきた。構成は不明だが、標準、広角、ポートレート、マクロといったところだろうか。 |
オプション | ・おサイフケータイ | ★★★☆☆ Reno Aからおサイフケータイの搭載は継続。そのほかの仕様は不明。 |
★合計 | 50点満点中 | 29点↑ |
Reno Aの弱点をしっかり補強してきた
前身のReno Aは非常に優秀なスマホだったが、それでもいくつかの弱点があった。
まず第一に、バッテリー容量だ。
Reno Aは3600mAhのバッテリーを備えていた。決して少ない容量ではないのだが、それでも使い方によっては一日持たないこともある。
昨今のスマホは4000mAh以上備えたモデルが増えてきており、3600mAhでも少ないと感じる人もいるだろう。
それに対し、新機種のReno3 Aは4025mAhのバッテリーを搭載している。これは素直に褒めたいところだ。しかも、バッテリー容量を増やしながらも、本体の軽さはほぼキープされている。
バッテリーはスマホの中でも重い部品となり、これを強化すると本体は重くなってしまうというトレードオフの関係になっている。Reno3 Aの重さとバッテリーのバランスは非常に良好だ。
第二の弱点が、カメラの貧弱さだ。
Reno Aは外側に二つのカメラを備えており、標準カメラと深度測定カメラという構成になっている。
昨今はカメラを外側に4つ以上つけているモデルも珍しくなく、それらと比較してしまうと、2眼のReno Aは物足りない印象を受けるのは間違いない。
また、スマホのカメラにおいては広角撮影を使用する頻度が多く、それに対応したカメラが存在しないのも残念な点だ。
それに対し、新機種のReno3 Aは外側が4眼構成となっている。しっかりとカメラのトレンドにも対応してきたわけだ。
構成は不明だが、この画素数から推察すると、カメラ1:標準、カメラ2:広角、カメラ3:ポートレート、カメラ4:マクロ(もしくは深度測定)という構成ではないだろうか。少なくとも広角撮影がついているのは間違いないだろう。
このように、Reno Aで弱点とされていた部分がしっかり補強されている。この点は非常に好印象だ。
また、弱点ではないのだが、防塵防水や保存容量もグレードアップしている。これにより、Reno Aの隙がさらに無くなったと言えるだろう。
一番肝心の処理性能が落ちてしまった
ここまではいい。Reno3 Aは前機種からさらに隙をなくした。
だが、スマホにおいて最も重要なのは処理性能だ。そしてReno3 Aは、なぜかこの処理性能が落ちてしまっている。
Reno Aは安価ながらSnapdragon 710という、同価格帯のスマホと比べるとかなり高性能な部品を使っていた。それがReno Aを抜群のコスパのスマホと言わしめていたのだ。
ところが、後継のReno3 Aはこの部品がグレードダウンしてしまっている。搭載されているのはSnapdragon 665。この部品はXperia 10 IIやmoto g8 plusと同じものだ。
つまり、同価格帯のスマホと比べて高性能というReno Aの個性は、後継機種になって綺麗さっぱりなくなってしまったのだ。
これには疑問符を付けざるを得ない。
我々ユーザーからするとさっぱり意味のわからない仕様変更だが、なんと当のOPPO公式すら意味がわからないらしい。下記はユーザーの疑問に対するOPPOのつぶやきだ。
なんでだろう。私も知りたい。
でも、665はまだまだ実用レベルではないかも思います。— OPPO Japan (@OPPOJapan) May 25, 2020
OPPOが意味が分からないのに、ほかの誰が意味が分かるというのか。まったくもって疑問である。
そしてOPPO公式はSnapdragon 665はまだまだ実用レベルと述べているが、問題はそういうことではなく、Reno3 Aのコストパフォーマンスはどうなのかということである。
スマホのコスパは、性能と値段のバランスで決まる。いくら性能が良くても値段が15万円もしたらコスパは最悪だし、いくら安くても性能がarrows M05レベルでは話にならないのである。
その点、前期種のReno Aは絶妙だった。この値段でこの性能なら、買うに値すると思わせる説得力があったのである。
Reno3 Aのコスパはまだ不明だ。値段がまだ発表されていないのだ。
だが、この性能となると、値段が3万円以下でないと厳しいと私は思う。それくらいでないと、Reno Aのコスパを超えることができない。
これではXiaomiのスマホに勝てない
そして本当の問題は、Reno Aのコスパを超えていないということではない。
ライバルのXiaomiのスマホに全く勝てていないということだ。
あなたもご存じかもしれないが、中国の大手スマホメーカーであるXaiomiが、とうとう日本に本格的に進出しだした。
そのために送り出してきたのが、Mi Note 10 LiteとRedmi Note 9Sというスマホである。
このスマホは両機種ともとてつもないコスパを持っている。どちらもReno3 Aどころか、Reno Aよりも上の性能となっている。しかも値段もReno Aと同等以上に安い。
これまではXiaomiのスマホはバンド対応と技適対応に弱点を抱えていて、性能が良くても積極的におすすめできなかった。ところが、上記の2機種はこれらの問題も解決してしまっている。
性能で上回られ、コスパも上をいかれ、サポート面でも同等となると、Reno3 Aのどこに勝ち目があるのだろう?
ほんのわずかながら勝機があるとすれば、Xiaomiは防塵防水やおサイフケータイには対応していない、というところだろうか。
だが、果たしてそれがこのスマホを選ぶ決定打になるだろうか? 私はどうにも弱い気がする。やはり一番重要なのは、性能に対する値段、つまりコスパなのだ。
一応言っておくと、日本メーカーと比べるとOPPO Reno3 Aはコスパがかなり高いと感じる。だが、日本人はそれだけではOPPO Reno3 Aを選ばないだろう。
基本的に中華スマホというだけで、日本人は敬遠する傾向にある。それらを押しのけて選んでもらうには、国境を超えるほどの絶対的な価値が必要となる。
そのためには、なんとしてもXiaomiと同等以上のスマホであってほしいところだ。
今後、OPPOはOPPO Reno3 5Gや、OPPO Find X2 Proといったスマホの発売を控えている。それらのコスパは高いことを祈っている。