いよいよ日本でも次世代通信規格である5Gの運用が始まる。それに合わせて各社から続々と5G対応端末が発表されているが、とうとう長く沈黙を続けていた富士通が動いた。
ハッキリ言って最近の富士通はパッとしなかった。ハイエンドのスマホは出さないし、毎年出て来る格安スマホは時代遅れの端末ばかり。
今回発表されたarrows 5Gはarrows NX F-04G以来、5年ぶりのハイエンド端末となる。しかも、他社がほとんど採用していない5Gのミリ波(より速い5G)に対応している。
コイツはすごい。値段次第では、arrowsが覇権をとることが出来るかもしれない。
スペックと評価
項目 | 詳細 | 評価 |
発売日 | 2020年夏 | - |
値段(コスパ) | 不明 | ☆☆☆☆☆ 果たしていくらになるか……!? 仮に10万円程度なら、覇権が取れるかもしれない |
SoC(処理性能) | Snapdragon 865 | ★★★★★ ハイエンド中のハイエンド。iPhone11より上 |
メモリ | 8GB | ★★★★☆ 十分な容量 |
バッテリー(電池) | 4070mAh ワイヤレス充電:不明 | ★★★★☆ 大容量! |
写真などの保存容量 | 128GB SDカードスロット有 | ★★★★☆ そこそこの容量 |
画面の綺麗さ | 有機EL リフレッシュレート不明 | ★★★★☆ 最近は90Hz以上のリフレッシュレートが標準となりつつある。果たしてこの端末はどうなるか |
解像度 | 不明 | ☆☆☆☆☆ |
防塵防水 | IP68 | ★★★★★ ここは富士通の素晴らしい所。防塵防水にしっかり対応し、耐久性も高い |
カメラ(画素数) | 広角:4800万 超広角:1630万 望遠:800万 内:3200万 | ★★★★☆ 機能的には十分に見える。センサーサイズが不明のため、画質はまだわからない |
オプション | ・指紋認証 ・おサイフケータイ ・5G(Sub6) ・5G(ミリ波) | ★★★★☆ 5Gのミリ波に対応の端末!! 顔認証があるかは不明 |
★合計 | 50点満点中 | 34点↑ |
処理性能は他社と同様に最高レベル
現在公開されている情報を読み取ると、性能は現在考えられる最高レベルである(なお、現在は公式サイトのページを見ることが出来ない。間違って公開してしまったのだろうか?)。
しかしそれは最新のSoCを載せれば当然と言える。問題は他社と比べてどうかと言う事だ。おそらく日本において最大のライバルとなるであろうAQUOS R5G、Xperia 1 II、Galaxy S20との比較表を作成した。
項目 | arrows 5G | AQUOS R5G | Xperia 1 II | Galaxy S20 |
発売日 | 2020年夏 | 2020/3/27 | 2020/春以降 | 2020/3/6(海外) |
値段(コスパ) | 不明 | 129600円(Softbank) | 1,199ユーロ (約144000円) | 約110000円(海外) |
SoC(処理性能) | Snapdragon 865 | Snapdragon 865 | Snapdragon 865 | Snapdragon 865 |
メモリ | 8GB | 12GB | 8GB | 8GB |
バッテリー(電池) | 4070mAh ワイヤレス充電不明 | 3730mAh ワイヤレス充電無し | 4000mAh ワイヤレス充電 | 4000mAh ワイヤレス充電 |
写真などの保存容量 | 128GB SDカードスロット有 | 256GB SDカードスロット無 | 128/256GB SDカードスロット有 | 128GB SDカードスロット有 |
画面の綺麗さ | 有機EL リフレッシュレート不明 | IGZO液晶(120Hz) | 有機EL(90Hz) | 有機EL(120Hz) |
解像度 | 不明 | 3168*1440 | 3840*1644 | 3200*1440 |
防塵防水 | IP68 | IP68 | IP68 | IP68 |
カメラ(画素数) | 広角:4800万 超広角:1630万 望遠:800万 内:3200万 | 外:1220万 望遠:1220万 広角:4800万 ToFカメラ 内:1640万 | 外:1200万 望遠:1200万 広角:1200万 ToF 内:800万 | 外:1200万 望遠:6800万 広角:1200万 内:1000万 |
オプション | ・指紋認証 ・おサイフケータイ ・5G(Sub6) ・5G(ミリ波) | ・指紋認証 ・顔認証 ・フルセグ ・ワンセグ ・おサイフケータイ ・5G(sub6) | ・指紋認証 ・PS4リモートプレイ ・おサイフケータイ ・5G(sub6) | ・顔認証 ・指紋認証 ・おサイフケータイ(日本版のみ) ・5G(sub6) |
各項目ごとに、最も優れていると判断した端末は太字で表した。
まず、処理性能は全て横並びで同じだ。
メモリに関してはAQUOS R5Gが頭一つ抜けて多い。ただし、これは少々過剰気味に見える。arrows 5Gの8GBも十分大容量と言える。
バッテリーに関してはarrows 5Gが4070mAhと、わずかにXperia 1 IIとGalaxy S20を上回った。ここは素直に評価したい。長時間駆動できることは単純に利便性の向上につながる。だが、ワイヤレス充電の有無はまだ不明だ。
保存容量はAQUOS R5Gが256GBと頭一つ抜けて多い。ただし、arrows 5Gの128GBでも十分大容量であり、その上SDカードで増量することが出来る。それほど大きなアドバンテージではない。
画面の綺麗さはまだ未知数だ。有機ELパネルを採用しているため、発色においてはXperia 1 IIとGalaxy S20と同等と予想できるが、リフレッシュレートがまだ不明である。リフレッシュレートは1秒間に画面を書き換える回数のことで、これが多いと画面が滑らかに表示される。最近のハイエンド端末は90Hz以上が標準となりつつあり、arrows 5Gも追随してくるかは気になるところだ。
防塵防水については全てIP68と同等である。ただし、富士通の防塵防水性能には定評がある。富士通は格安スマホにおいても、性能を犠牲にしてでも防塵防水にこだわるほどだ。arrows 5Gにおいても他社以上に期待していい部分だ。
カメラについては実際に撮ってみないと実力はわからない。一応画素数はarrows 5Gが最も多いが、画素数の多さが画質に直結しないことはこのブログで繰り返し述べている。
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arrows 5GはToFカメラ(距離を測るカメラ)も存在しないため、最近流行りのポートレート撮影が出来ないかもしれない。まあカメラについては実機を使ってから判断しよう。
真の5Gに対応している
そしておそらくもっともこの端末の特徴的な部分は、5Gのミリ波に対応しているということだ。
少し説明すると、5Gにも種類があり、低い周波数を用いるSub6と、高い周波数を用いるミリ波の2種類がある。ミリ波の方が高速で、建物などの遮蔽物に弱いという特徴がある。
実は今発表されている5G対応端末はほとんどがSub6のみの対応となっており、ミリ波は利用できない。現状ミリ波対応が確定しているのはXperia PRO、Galaxy S20+、Galaxy S20 Ultraの三機種のみだ。そしてこれらの端末は値段が異常に高いことがほぼ確定している。
Xperia PROはXperia 1 II(約142000円)の上位機種のため、それより高くなることが確実である。Galaxy S20+は約13万円、Galaxy S20 Ultraは約15万円である(これらは全て海外版の価格であり、日本ではまだ未定)。
これは富士通にとってはチャンスである。もしarrows 5Gがコストパフォーマンスに優れていれば、他社を出し抜いてトップに立つ可能性がある。
もしこの端末が10万円……いや、11万円程度の価格でだせれば、他社の端末より圧倒的にコスパが高い。
私はこんな富士通を待っていたのだ。arrows M02が自らの熱で燃え尽き、arrows M03、arrows M04、arrows M05と化石のような端末を出し続けてきても、それでも富士通には期待していた。私は伊達に10年近く富士通の製品を使っていない。
さあ、真の5G端末を、真の富士通に相応しい端末をリリースしよう。あとは価格だけだ。