いよいよ日本でも次世代通信規格である5Gがスタートし、各社から続々と5G対応端末が発表されてきている。
そしてついに世界第2位のスマホメーカーであるHuaweiから、フラッグシップ5G対応端末が発表された。それが今回紹介する「Huawei Mate 30 Pro 5G」だ。
カタログを見て私は唸った。素晴らしいスペック、美しい画面、画質の良いカメラを搭載したスマホだ。お値段も凄いことになっているが、それに見合う性能はあると言える。Googleアプリが使えないという致命的な弱点があるが。
スペックと評価
項目 | 詳細 | 評価 |
発売日 | 2020/3/28 | - |
値段(コスパ) | 128800円 | ★☆☆☆☆ 高い。他社と比べてコスパ悪い |
SoC(処理性能) | HUAWEI Kirin 990 5G | ★★★★☆ ハイエンドだが、他社の次世代端末と比べると一歩劣る。 |
メモリ | 8GB | ★★★★☆ 十分な容量 |
バッテリー(電池) | 4500mAh ワイヤレス充電有 リバースチャージ 40W急速充電 | ★★★★★ 大容量かつ高機能! |
写真などの保存容量 | 256GB SDカードスロット有(SIMスロット使用) | ★★★★★ 大大容量! |
画面の綺麗さ | 有機EL 90Hz | ★★★★★ 美麗かつ滑らか |
解像度 | 2400*1176 | ★★★★☆ 次世代スマホの中では少な目 |
防塵防水 | IP68 | ★★★★★ 風呂でも使えそう |
カメラ(画素数) | 広角:4000万 超広角:4000万 望遠:800万 ToF 内:3200万 | ★★★★☆ かなり大きめの撮像素子を使っている。画質は期待できる |
オプション | ・指紋認証 ・顔認証 ・5G(Sub6) ・5G(スタンドアロン) | ★★★★☆ おサイフケータイは無い。5Gのスタンドアロン方式に対応 |
★合計 | 50点満点中 | 41点 |
性能に対して値段は高め
まず処理性能だが、Huawei独自のSoCである「HUAWEI Kirin 990 5G」を搭載している。ハイエンドと呼べる性能はあるが、実はAQUOS R5G、Xperia 1 II、Galaxy S20といった端末からは一歩劣る。いやそれどころか、去年の端末であるiPhone11にも劣っている。
決して性能が低いわけではないのだが、128800円(税別)という価格を考慮するとコスパは悪いと言えるだろう。性能で選ぶなら値段のほとんど変わらないAQUOS R5Gや、もっと安いGalaxy S20の方がいい。
この端末の真価はカメラ
性能では一歩劣るが、それでもこの端末は次世代端末と呼ぶにふさわしいスマホだと思う。その理由の1つが、定評のあるカメラにある。
Huaweiのカメラは性能が良いことで知られている。Huawei Mate 30 Pro 5Gのカメラはドイツのライカが監修を行っており、カタログを見る限り素晴らしい性能を持っている。
カメラの画質を大きく決定する要素が、撮像素子の大きさだ。詳しくは「カメラの画素が多いほど画質が悪い!?知って得するスマホの豆知識」という記事を参照してほしい。
まず広角カメラが1/1.7と、数値上はXperia 1 IIと同等となっている(画素数はHuawei Mate 30 Pro 5Gの方が多いので、1画素当たりの大きさはXpera 1 IIの方が大きいだろうが)。
そして超広角カメラは1/1.54と、広角カメラよりさらに大きな撮像素子を使っている。これだけ大型の撮像素子なら、かなり画質に期待が持てる。
動画の撮影にも強く、4K動画(滅茶苦茶高精細な動画)を60fps(滑らかな映像)で撮ることが出来る。
45倍ズーム、ウルトラスローモーション撮影、ポートレート撮影など、およそ今のスマホのカメラに搭載されているあらゆる機能が備わっている。
以上、Huawei Mate 30 Pro 5Gのカメラはかなりハイスペックな構成となっている。
5Gのスタンドアロン方式に対応している
このスマホが次世代に相応しいもう一つの理由が、5Gのスタンドアロン方式に対応している点だ。
なんのこっちゃと思うかもしれないが、5Gには2種類の運用形態が存在しているのである。
1つは従来の4G設備を利用したノンスタンドアロン方式だ。この方式はこれまでの設備を利用できるため、設備投資が安く済む。ほとんどの5G対応スマホはこのノンスタンドアロンのみの対応となっている。
2つ目は5G専用の設備として利用するスタンドアロン方式だ。完全に5G専用の設備となるため、ノンスタンドアロン方式よりも性能が良い。ノンスタンドアロン方式に対応するということは、より高品質な5G通信が出来るということになる。Huawei Mate 30 Pro 5Gはこの方式に対応している。
ただ、スタンドアロン方式はまだ設備が整っておらず、すぐに利用できるわけではない。中国ではすでに運用が始まっているようだが、日本での運用はまだ先になるだろう。
性能は素晴らしいが、Googleアプリが使えないのが致命的
さて、Huawei Mate 30 Pro 5Gが素晴らしい性能を持つ端末であることを説明したが、結局のところこの端末の購入はお勧めできない。
なぜかというと、Googleアプリが使えないからである。
あなたもご存知だろうが、現在Huaweiはアメリカに制裁を受けており、禁輸措置によりGoogle製のアプリが使えない。具体的にどういうアプリが使えないかと言うと、GMail、Googleマップ、Youtube、Google Play ストアといった、あらゆるGoogleを介したアプリが使えない。
もちろんこれらの主要なアプリが使えないのでは、スマホとして成立しないので、Huaweiは「HUAWEI Mobile Services」という独自のサービスを開始した。要はGoogle Play ストアに相当するサービスを自前で作ってしまったのである。だから、メールや動画視聴といった基本的な機能は利用できる。スマホとしてはちゃんと機能する。
だが、それでも私はこの端末を利用しようと思わない。なぜなら、私がよく遊ぶゲーム(ファイアーエムブレムヒーローズなど)が対応するとは思えないからだ。また、TwitterやLineも使えないようだ。これではいくらこの端末が素晴らしくとも、手を出すことが出来ない。
ちなみに、最近発表された同社のHuawei P 40 Liteも同じ弱点を抱えている。素晴らしい性能の端末だけに、非常に残念だ。
今すぐ手を出すのはお勧めしない
結論として、この端末は少々コスパが悪く、Google Play ストアが使えないので、今すぐ手を出すのはお勧めしない。
アメリカの禁輸措置が解除されればGoogle Play ストアが解禁されるかもしれないので、買うのはその後の方がいいだろう。
5Gのスタンドアロン方式の対応についても、日本ではまだ全然設備が整っておらず、今買っても宝の持ち腐れだ。
それでも8万円くらいならカメラ性能で買っても……ううーん、やっぱりお勧めできない。OPPO Find X2やGalaxy S20といった次世代スマホのカメラも同じくらい期待できるからだ。
本当に3月28日に日本で出すんだろうか。制裁が解除されるまで待った方がいいと思うのだが。じゃないとGoogleアプリが使えないと知らないで買ってしまうユーザーが出る可能性がある。Huaweiにとってもユーザーにとっても不幸しか生まない気がする発表だった。